「おっさーん。まだー?」

後ろの方から、最近、俺の家に泊まっている奴の声が聞こえた。
俺はというと、二人分の朝食を作っているところだった。


「少しくらい待てんのか!お前は!」
「だってー。腹減ったしー」


あー言えばこういう奴なのだ。こいつは。
この、甘興覇という男は。

こいつは最近、また他校の不良とケンカしたらしい。
売られたケンカは買うのが礼儀というのが、こいつのモットーだというのだから、こういうことはしょっちゅうなのだ。
たいていこいつが勝って、はい、おしまい。というのが普通なのだが、今回はそうはいかなかった。

相手が、凶器を持っていたらしいのだ。
これは、不良同士のケンカ、というレベルではなく、列記とした犯罪だ。

騒ぎを聞きつけ、俺が駆けつけたからいいものの、ヘタしたら、あのまま殺されていたかもしれないのだ。
無謀にもこいつは、たった一人で10人以上の敵と戦っていたのだ。
(後で聞いた話だが、最初は一対一だったらしいが、いつの間にか増えていたらしい)
一対一のケンカでは、こいつは絶対に負けないが、相手が10人、しかも凶器持ちを相手にするとなると、話は別である。
俺が駆け寄った時には、こいつは血だらけで、ふらふら状態だった。

その後、この事件が校長にばれて、傷の治療もかねて、自宅謹慎となった。
家族がいないこいつを、仕方なく俺が引き取っている・・・というわけだ。

俺達が通っている学校には、こいつのように、わけあって家族と一緒に住めない。または、家族がいない奴が多くいる。
ここら辺では珍しい、寮がある学校だからなのだろう。


「おっさーん・・・・」
「なんだ?」
「・・・・焦げてる・・・・」


甘寧に言われ、手元に目をやると、焼いていた目玉焼きが黒くなりかけていた。


「うおっ!!?しまった!」
「おいおい・・・見てられねーなぁ・・・」


そう言うと、甘寧はゆっくりと立ち上がり、俺の隣に立った。
そして、俺からフライパンを取り上げると、俺をリビングのほうに押しやった。


「はいはい。あとは俺まかせて、どんくさい奴はあっちで休んでろ」
「なっ!!だ、誰がどんくさいか!」


だって、どんくさいじゃん。と、はっきり言われると何も言い返せない。
う〜・・・と、俺がうなっていると、また甘寧がからかうように言った。


「顔、赤くなってんぜ?」
「なっ・・・!?」
「可愛い」
「はぁ!??」


さらっと、こんなことを言ってのけるこいつは、ほんとに馬鹿だと思う。
少し前まで、どうしようもない不良だったこいつが、こんな風になるなんて、思いもよらなかったが・・・

こんな甘寧も、ま、いいかなと、思ってしまったことに、また、顔が熱くなるのを感じたのだった。








学園パロで甘呂〜。
話の内容はその場でぱぱっと決めちゃったので、ぶっちゃけ印象にのこってな(ぇ
ていうか、甘々なのかよくわかんないですよね。コレ。