雨の日が好きだ。

だって、あの人に会えるから。






        







今日は朝からしとしとと雨が降り続いている。
甘寧や凌統はこの天気がうっとうしいといっているが、呂蒙はそうは思わなかった。
いや、むしろ好きだった。


「…呂蒙殿、様子がおかしいですね……」


陸遜が、窓の外をボーっと眺めている、呂蒙を心配そうに見て言った。


「最近、雨の日はいつもこうだよな。…ったく、相手してくれねーし、うざってぇ…」


よほど面白くないのか、机の上に足を勢いよくのせた。
ドンっと、大きな音がして、上にのっていた茶が少しこぼれた。
凌統が、甘寧をキッと睨みつけた。


「甘寧…。足どけろ。めざわりだっつーの」
「うるせー。タレ目は黙ってろ」
「んだとぉ……?」


凌統が机を叩き、立ち上がった。
おもしれぇ。と呟き、甘寧も立ち上がり、凌統を睨んだ。

今にも、喧嘩をおっぱじめる勢いである。


「いい加減にしてください!二人とも!!」


陸遜が怒鳴るが、まったく効果はないようだった。
この二人をいとも簡単におとなしくさせてしまう人は、上の空で外を眺めている。
ここは、自分がなんとかしなければ。と、陸遜は二人ににっこりと笑みを向けた。


「…いい加減にしないと、灰にするぞコラ…」


爽やかな笑顔の裏には、紛れも無い殺意が渦巻いているのが、気が立っていた二人でもわかった。
流石にここで燃やされるわけにはいかないので、二人は舌打ちしながらも、大人しく椅子に座った。


「雨、だんだん酷くなってますね」


ふと、外を見た陸遜が呟いた。
さっき、二人にむかって殺意のこもった笑顔はもう消えうせているようだ。
切り替えの早いやつ。と、二人は思った。何処までこいつは黒いんだか。
もちろん、口に出しはしなかったが。


「まぁ…梅雨だしな。しょうがないんじゃねーの?」
「そうですね…」
「俺、こーゆーじめじめしたの嫌いなんだけどなぁ」


そう言って、甘寧はぼりぼりと頭をかいた。


「そりゃ、元々雨が好きな人なんて少ないんじゃねーの?」
「そうでしょうね。私も苦手です」


暑苦しいですしね。と、最後に付け加えた。

雨が好きな人など、少ない。
雨の日に外に出ていれば、変人扱いされるだろう。
だが、そんな雨の日が好きな人が此処にいる。
その人も、雨自体が好きなわけではなくて。
雨が好きな理由は、悔しいが、この三人の中にいない…いや、正確には、この世にいないと言ったほうがいいだろうか。
…雨の日は、かつてその人が愛した人に会えるんだという。


「呂蒙殿…」
「何で俺らじゃ駄目なんだ…?」
「呂蒙サン…」


そう呟いた三人は、雨が嫌いである。
それは、愛しているものをとられてしまう気がするから。

そんな三人に想われている呂蒙は、雨が好きである。
雨唄にのせて、あの人の声が、聞こえてくるから。



「関羽…殿…」



呂蒙の呟いた言葉に反応したように、また一段と、雨音が激しくなった。





















久々の小説なのに、暗い…。そしてまとまりが無い…。
しかも、全員に→がついている超ド級のマイナーCPだし…。
だめやん。。。私…。