一方通行
ある晴れた日のこと。
昨日のうちに終わらせてしまった仕事の山を見て、ホウ統は少し顔をしかめた。
「しまったねぇ・・・少し残しておくつもりだったのに・・・今日やることが無いじゃないか・・・」
昨日も暇で、ホウ統はたっぷりとたまった仕事を少しだけやるつもりで机に向かっていた。
だが、途中から夢中になってしまったようで、気が付いたら全部片付いていたということだ。
「新しい仕事をもらうには・・・諸葛亮のとこに行かなきゃならんのだが・・・ちぃと面倒だね・・・」
いや、諸葛亮のところに行くだけなら、別に面倒ではないが・・・
そのあとがいろいろと面倒なのである。
なので、できるだけ、必要最低限近づかないようにしていた。
しかたがないので、その辺をぶらぶらすることにした。
しばらく城の周りをぶらぶらしていると、なにやら鉄と鉄が交わる音が聞こえてきた。
侵入者だろうか?
そう思って、音のする方向へ歩いていった。
そこには、見慣れた三人の姿があった。
一人は、馬超。
なにやら怒ったような顔をして怒鳴っている。
もう一人は、姜維。
馬超が切りかかるのを必死に止めようとしているようだ。
最後の一人は、趙雲。
こちらも、馬超と同じく、怒ったような顔をして、馬超の攻撃を受け止めつつ、反撃していた。
姜維がホウ統に気がつき、助けを求めるような目で此方を見た。
しかたないねぇと、ため息混じりに言ったあと、ホウ統は地面を強く蹴った。
ホウ統の小柄な体が浮いたかと思うと、馬超と趙雲の間に上からわって入った。
「はいはい。そこまでにしておくんだねぇ。姜維が困っているだろう?」
「「ホウ統殿!?」」
二人は、いきなり上からふってきたホウ統に驚いたようで、口があんぐりと開いていた。
「まったく、何が原因でこんなことになったんだい?一歩間違えば命がなくなってたよ?」
「ホウ統殿!!聞いてくださいよ!!孟起がホウ統殿を馬鹿にするんです!!」
「はぁ!?お前が先に姜維を侮辱したんだろうが!!」
そして、また言い合いが始まった。
この二人に話の内容を聞いてもどうしようもないと悟り、姜維に聞くことにした。
「で?二人は何で喧嘩どころじゃない切り合いになったんだい?」
「それは・・・えっとですね・・・」
ホウ統は、姜維に大体の話を聞いて、とことん呆れた。
ことの始まりは、馬超が姜維について、惚気を言っていたことからだそうだ。
始めは趙雲も大人しく聞いていたが、とうとう我慢できなくなったらしく・・・
『ホウ統殿のほうがよっぽど可愛い』
と、うっかり言ってしまったのである。
それから、両者の張り合いが続き、今に至ったという。
簡単に言えば、ただの自分の好きな人自慢ということらしい。
「はぁ・・・まったく。馬超殿、趙雲殿、二人の言い分はわかったから、少し静にしてくれないかねぇ?」
「だって、猛起が・・・・」
「はいはい。あっしは馬超殿の言い分が正しいと思うね。どう見たら、あっしが可愛く見えるんだい?」
「ほらみろ!!やっぱり姜維のほうがいいじゃねぇか!!」
「・・・馬超殿、本人にすごい失礼なこと言っているのわかりませんか??」
姜維が馬超を睨みつけた。
「まぁまぁ、とりあえず、趙雲殿はつれて帰るからねぇ。迷惑かけたね。」
「ちょ・・・ホウ統殿!!」
まだなにやら納得がいかないらしい趙雲を引きずり、二人から離れた。
一通り離れたところで、やっと趙雲を離した。
「ホウ統殿っ!!なんで止めたんですか!?」
「お前さんねぇ、仲間同士で切り合うなんて、どんな神経してるんだい?」
「それは・・・そう・・・ですけど・・・」
趙雲が口ごもった。
ホウ統の言っていることは確かに正しいのだが、趙雲はどうしても許せなかったのだ。
この人は気付いているのだろうか?
自分が、仲間にまで切りかかってしまうほど、頭にきてしまった理由。
頭に思い浮かべるのは簡単で、でも、なかなか言葉にだせない想い。
それは、『愛している』ということ。
趙雲は辺りを見回した。
幸い、いつもホウ統をストーカーしている変態もいない。
言うなら今だと思った。
「ほ、ホウ統殿、実は私――・・・・」
その時、後ろから緑の光を帯びたビーム(しかも、無双乱舞の一番でかいヤツ)がとんできて、趙雲の頬をかすめた。
趙雲の髪が、二、三本、はらはらと中を舞った。
「な・・・・?!」
「フフフ・・・私になんの断りも無く私のホウ統になにしようとしてたんです・・?」
不敵な笑みと共に木の陰から、趙雲が最も会いたくない人物が現れた。
そう、誰もが知る、三国時代一の変態軍師、諸葛亮だった。
ホウ統は一瞬、顔を曇らせた。やっかいなヤツが来たと、そう言いたげだ。
「またあなたですか!!何でいつもいつも私の邪魔をするんです!」
「邪魔も何も、趙雲殿のほうが、はるかに私の邪魔ですけど?」
「・・・あっしには、両方とも邪魔だけどねぇ・・・」
小さくホウ統がそう言ったのにも気付いていない様子で、二人は睨み合っている。
暇つぶしにゆっくり散歩がしたかったホウ統にとっては、いい迷惑である。
「だいたい、あなたが邪魔しなければ、この小説、甘々になってたのに!」
「あなたがホウ統と甘々をかたろうなんて、百億万年早いんですよ!!」
と、ホウ統にとって、まったくもってどうでもいい言い合いばかりである。
もう、ギャグだろうが、甘々だろうが、どっちでもいいから静にしてほしかったのだ。
言い合う二人を横目に、ホウ統はため息をついた。
すると、後ろから、お世辞にも言葉遣いがうまくない、魏延が声をかけてきた。
「ホウ統、ドウシタ?」
「あ、お前さんかい。見てみな、あの二人。」
「アイツラガドウカシタノカ?」
「どうしたもなにも、静にゆっくり時間を過ごしたいのに、うるさいのなんのって・・・」
いい加減にしてほしいね・・と、ため息混じりに首を横にふった。
それを見た魏延は、ちょっとためらったあと、恥ずかしそうにホウ統に言った。
「・・・ジャア、我ノ部屋ニ来ルカ?」
「いいのかい!?」
ぱっと、ホウ統の顔が明るくなった。
魏延は、見方でさえ、恐れられている。
そんな魏延の部屋の周りには、当たり前のように人が少なかった。
静に時間を過ごしたいホウ統にとっては、格好の場所だったのだ。
ホウ統は、帽子と口布で顔を隠していて、顔は見えない。
だが、ときどき見せる、この笑顔が、魏延は大好きだった。
照れるのを隠すように、くるりと後ろを向き、すたすたと歩き出した。
「ちょいと、魏延、まってくれ〜。」
そして、ホウ統はそのあとをよたよたとついて行った。
一方、趙雲と諸葛亮の二人は、まだ言い合いをしていた。
「そこまで言うなら、ホウ統殿にどちらがふさわしいか、言ってもらおうじゃないですか!」
「いいでしょう・・・勝つのは私でしょうがね。」
「ホウ統殿!どちらがあなたに・・・・・・・って、あれ?」
「・・・・いません・・・ね・・・」
この二人が、一番恥ずかしい思いをしたのは、言うまでも無かった。
了
いや、なんでしょうね、この微妙なギャグともいえない小説・・・
もう、結局、なにが書きたかったのか良くわからな(以下略
タイトルからして、超微妙ですし。
しかも、馬超と姜維、出番すくねぇ!!
もう、何がなんだか・・・・(泣
とりあえず、全国の無双好きの方々に土下座したあと、隠居します。。(ぇ
・・・・嘘です。(何だお前